働き方が大きく変わるかも!? 2022(令和4)年10月から最低賃金と社会保険制度の適用範囲が変わります

はじめに

8月2日に、厚生労働省より『令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について』が発表されました。
10月以降、最低賃金が引き上げられます。
また、10月からは他にも健康保険・厚生年金保険の適用範囲の拡大により、パートやアルバイトでも厚生年金の加入対象となる人が増える見込みです。

会社の健保や厚生年金保険に加入すると、目先の手取りは自己負担の発生によって減少すると思いますが、将来厚生年金が受け取れるようになったりもしもの場合に障害年金や遺族年金も受け取れるようにもなります。

この変更により、これまで扶養に収まる範囲で勤務時間や働き方を調整されていた方は、大まかには引き続き扶養に収まるように働く時間を短くするか扶養の制限から外れて働く時間も給料も増やすか、選択していくことになります。

どのような働き方にすれば良いか、毎月の手取りも大事ですが将来の年金を含めて考えることも大事だと思いますので、このブログがライフプランを考える上で少しでもご参考になれば幸いです。

働き方やライフプランを考えるきっかけに

  • 現在パートやアルバイトをしていて、今の働き方ではこれから厚生年金等の対象となる方
  • 今は子育て等で仕事はしていないけど、いずれパート等で仕事をする予定の方
  • 100万や106万・130万円など、様々な"収入の壁"を働き方の一つの基準にしたい方

上記に該当する方は、今後の働き方について、扶養の範囲に収まるようにするか扶養から外れるか、将来の年金の変化も含めて考えるとライフプラン全体を見てより納得出来る選択を探した方が良いと思います。

社会保険に入るようにすること、しないようにすることのいずれを選んでもメリット・デメリットはそれぞれ働く方だけでなく雇う側にもあります。
対象となる方は、今後会社から説明会や個人面談が行われ意向が確認されると思われますが、いずれ判断すべき時は来ます。

社会保険に入るか入らないかの判断は、考え方や基準・環境が人それぞれ異なるだけに一律にどうすれば良いとも言いにくいので、例えば同じ会社に勤めるパートやアルバイトの方同士でも同じ選択で良いとは言いにくい話です。出来るだけ納得して判断するためには、目先の負担だけでなく将来の厚生年金やいざと言う時の障害・遺族年金のことも踏まえて決めた方が良いと思います。

最低賃金の改定

8月2日に、厚生労働省より『令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について』が発表されました。

全国的には時給が30円もしくは31円上がることになり、兵庫県は31円上がることが決まりました。ちなみに、この上昇幅は昨年もそうでしたが過去最大の引き上げ幅になっています。

尚、この変更は2022(令和4)年10月1日からで、兵庫県は928円→959円になります。1時間では31円でも、仮に1日5時間働く方が月に20日出勤した場合、ひと月では100時間働くため金額で3,100円、年間では37,200円収入が増える計算になります。

健康保険・厚生年金保険の適用範囲の拡大

2022(令和4)年10月1日からの変更には、パートやアルバイトなど短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用範囲も拡大されます。
事業所の規模と、勤務期間が変更対象となっています。

要件早見表
対象要件平成28年10月~(現行)令和4年10月~(改正)令和6年10月~(改正)
短時間労働者労働時間1週の所定労働時間が20時間以上変更なし変更なし
事業所事業所の規模常時500人常時100人常時50人
賃金月額88,000円以上変更なし変更なし
勤務期間継続して1年以上使用される見込み継続して2カ月を超えて使用される見込み継続して2カ月を超えて使用される見込み
適用除外学生ではないこと変更なし変更なし

令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構)HPより)

今回の適用範囲の拡大の対象となる企業には、2022年8月までに日本年金機構から通知書類が届きます。
その対象企業で働くパート・アルバイト等の短時間労働者のうち、以下の条件全てを満たす方が加入対象者となります。

  1. 一週間の所定労働時間が20時間以上(変更なし)
  2. 月額賃金が88,000円以上(変更なし)
    (基準額は変更ありませんが、最低賃金が上昇することにより88,000円以上になるまでの勤務時間は短くなります。2022年10月からの最低賃金959円で計算した場合、1日の勤務時間が4時間なら23日5時間なら19日の勤務で88,000円以上になります(959円×4時間×23日=88,228円、959円×5時間×19日=91,105円)。)
  3. 継続して2カ月を超える雇用の見込み(変更点)
    これまでは"1年以上"でした。

保険料の負担と年金給付がどのように変化するか

一例として、年収106万円(月収8.8万円)で国民年金・国民健康保険に加入していた方が厚生年金等に加入する場合にどのように変化するかをお伝えします。

毎月の負担

合計:19,100円(全て本人負担) → 25,000円(会社と本人の負担の総額)

負担の総額は約6,000円近く増えますが、上記は会社も負担する金額の合計です。
厚生年金等は会社が半分負担しますので、本人負担で見ると、

19,100円 → 12,500円

となり月額6,600円負担減となります。

給付の目安(厚生年金)

もし20年間加入した場合、月額約9,000円(年額108,300円)が終身で受け取れる計算になります。
人生100年時代と考えて65歳から35年間受け取れる場合、総額約379万円の計算になります。

※年金額及び年金保険料は概算の目安です。実際の金額は役所や社会保険事務所等へお尋ね頂くかねんきん定期便等でご確認下さい。

他にも

もしもの場合もサポートが手厚くなります。

厚生年金加入中の障害については、障害等級1・2級の場合、障害基礎年金に加え、障害厚生年金の上乗せがあります。
障害厚生年金は、老齢厚生年金と違い、加入期間が短くても一定(300月分)の給付が確保されます。

また、3級やそれより軽い一定の障害の場合、国民年金加入だと障害年金の支給が受けられませんが、厚生年金に加入すると、障害厚生年金または障害手当金(一時金)の支給を受けられます。

障害年金の他にも、傷病手当金や出産手当金が受け取れたり、万が一の場合はご家族が受け取れる遺族年金に遺族厚生年金も加算されます。

ライフプランのご相談は当事務所へ

ブログでは一般的な内容や目安は記載出来ますが、お客様それぞれで考え方やご希望されるシミュレーションも異なると思います。当事務所では、キャッシュフロー表に基づいて人生全体でのお金の流れをご説明致しますのでお気軽にご相談下さい。

パートやアルバイトでどのように働くか、目先の手取りだけでなく将来の事も含めてより納得の出来る選択をしたいとお考えの方は、まずは個別相談をご利用下さい。

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