NISAの制度変更で恩恵を受けられる人はどのくらい?
今年の税制改正の議論の一つとして、金融庁からの要望でNISAの投資上限枠や期間が議論になりそうです。
投資上限枠は引き上げ、期間は恒久化も検討されるようです。
どのような形で決まるかはこれからの議論になりますが、2024年からのスタートに向けて証券会社がシステム対応をするためには大体今年中くらいに制度の内容は決まるのではと思いますので、今年の税制改正大綱に注目していただきたいと思います。
このブログでは、NISA制度が何らかの形で変わるとしてもその恩恵をどの程度の人が享受出来るのか、現在のNISA制度をどの程度の人が利用しているかについてまとめたいと思います。
金融庁の「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」によると、NISAの3つ(ジュニアNISA・一般NISA・つみたてNISA)の口座数の合計は1,837万4,851口座です。現在の日本の人口は1億2,478万人のため、人口比で見ると14.73%の人が口座を開設している計算です。
ただ、買い付け金額までデータを見ると、『NISA口座の開設はしているけど買い付けを行っていない』口座が720万3,911口座もあり、NISA口座数全体の39.21%もの割合になります。
計算すると、NISA口座を開設し1円以上の買い付けまで行っている口座は1,117万940口座で、人口比で見ると8.95%まで下がります。
日本の人口とNISAの利用状況
Tier | 項目 | ジュニアNISA | 一般NISA | つみたてNISA | 合計 | 人口比 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | NISA買付あり | 44万9,282 | 701万2,325 | 370万9,333 | 1,117万940 | 8.95% |
2 | NISA総口座数 | 72万544 | 1,247万1,202 | 518万3,105 | 1,837万4,851 | 14.73% |
3 | 日本の総人口 | 1億2,478万 | 100% |
日本に住んでいる人ならNISA口座は開設は可能ですが、現状では買い付けまで利用している人は人口の1割にも満たない状況ですので、制度を変更してもすぐに恩恵を受けられる人はごくわずか、と言うことになると思います。
しかし、今後の資産形成においてはNISA制度を利用することは有効な手段の一つだと思います。
議論はこれからではありますが、NISAは「成長投資枠(仮称)」を導入し長期の積み立てに適した商品を対象に投資枠を拡大する案もあるようです。NISAをきっかけに運用を始める人も多く、これからの制度変更が運用を始める人が更に増える内容であることに期待したいと思います。
岸田文雄首相が掲げる『新しい資本主義』の中で『資産所得倍増プラン』は一つの柱になるようです。預貯金の金利が例えば1%になるまでの上昇は現実的には難しいと思いますので、『資産所得倍増プラン』の恩恵を享受するためにはNISA枠の活用等何らかの預貯金以外の運用手段は必要になると思います。当事務所も、NISAを活用されていないお客様には制度の説明等を通じて『資産所得倍増プラン』を実現しキャッシュフローがより良くなるようにサポートしたいと思います。
※参考資料
金融庁 「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」 (令和4年8月8日)
総務省 人口推計(令和4年(2022年)3月確定値、令和4年(2022年)8月概算値) (2022年8月22日公表)
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