『約0.1%』の引上げは“僅か”な幅でしょうか

11月の住宅ローン金利は一部の大手で引上げ

10月31日に発表された11月の住宅ローン金利で、一部の大手銀行が金利を引き上げました。

引き上げ幅は、0.03%~0.15%です。この記事では、便宜上 『約0.1%』 とします。
この『約0.1%』の引上げは、率だけ見れば僅かかも知れませんが、住宅ローンと言う長期多額を借りる場合の実額でのインパクトはどうでしょうか。そして、増える支払いの実額を利息でもらおうとした場合どの程度元金が必要なのでしょうか。

ホームページで公表されている銀行の金利でシミュレーションしてみます。

シミュレーション

共通条件

借入金額3,000万円
返済期間35年
返済方法元利均等払い(※)
ボーナス払いなし

(※)元利均等払い:月々の支払いが一定額で、金利と元金の割合が返済時期によって異なる支払い方法

条件設定①

金利 0.475%

支払い情報
毎月返済額77,544円
年間返済額930,528円
返済総額32,568,480円

金利は0.1%引き上げられると仮定します。

条件設定②

金利 0.575%

支払い情報
毎月返済額78,874円(+1,330円)
年間返済額946,488円(+15,960円)
返済総額33,127,080円(+558,600円)

35年間で558,600円、1年間では15,960円なら大したことはない、と感じられる方は多いかも知れません。

ただ、いまの日本は預金金利が全然ついていません。
普通預金はメガバンクでは概ね0.002%くらいなので、ここでは0.002%と仮定します。

16,000円弱の利息を0.002%の金利で受け取るために必要な元金は、約10億円です。

10億円 × 0.002% = 2万円(税引き前利息)
2万円 × 20.315%(復興増税含む) = 4,063円(税金)
2万円 ー 4,063円 = 15,937円

つまり、ここから金利が変わらなければ、35年間10億円の原資から得られる利息の全てが 『0.1%』住宅ローンの支払い増加分だけで消えてしまう、と言う計算になります。
さらに、10億円の原資は出金すると得られる利息も減りますので、35年間1円も出金しないことが前提となります。

そう考えると、“僅か”な幅ではないと考えても良いのではないでしょうか。

変動型の住宅ローンで既に購入されている方は、次の更新時に住宅ローンの支払額が増えるか増えないか、気にしておかれた方が良いかも知れません。

ライフプランニングの見直しを

今年は多くのものが値上がりしています。

お金はモノと交換するためにありますので、モノの値段が上がっているならそれに見合う分だけお金も増えるなら価値は目減りしませんが、金利が上がらず給料も上がらずに物価やローンの支払いが増えるとお金の価値は下がる、と言えると思います。

追い打ちをかけるように、国民年金を負担する年齢が60歳までから65歳までに引上げる検討のニュースも出てきました。

これから様々な変化が起きる中で将来に亘って不透明な状況が続くと感じると、不安も増えると思います。その不安を少しでも減らすためにも、ライフプランニングは作成はもちろん見直しの必要性も高まると思います。
ライフプランニングを行ったことが無い方はもちろん、過去に行われた方でもその後定期的に最新情報に更新されていない方は、お気軽に当事務所にご相談下さい。

当事務所は株式や保険等の金融商品を販売していませんので、相談したら何か販売の提案をされる、と言うご心配は無用です。中立的な立場でお客様に伴走し、ご要望に沿うためのアドバイスを行います。